「基本図」までの指し手
早仕掛けの研究をする前に、「早仕掛けで現れる攻め筋」と「仕掛けの成否を左右する駒」を整理しておきましょう。概観1、2で攻め筋、概観3で仕掛けの成否を左右する駒について扱います。
「『先手四間飛車vs後手斜め棒銀』概観1」では4七歩・5六歩・9八香型が四間飛車最善形とご紹介しましたが、早仕掛けでは四間飛車最善形というものはないと思います。優劣を左右するポイントとなる駒は早仕掛けでもいくつかあります(概観3参照)が、(1) その多くが居飛車側の駒のため四間飛車に有利な形に強要することができない、(2) 4つのどの攻め筋で攻められても利点のあった斜め棒銀での最善形と違い、早仕掛けの攻め筋によってはその駒の配置の有効性が生かされないことがある、という2つの理由のためです。
まずは左の「基本図」を出発点にして、早仕掛けでの攻め筋をまとめます。「基本図」は△8六歩と「開戦は歩の突き捨てから」という基本通りに仕掛けたところです。四間飛車はこの△8六歩に対して▲8六同歩と▲8六同角の2通りの応手がありますが、概観1で▲8六同歩、概観2で▲8六同角を扱うことにします。
▲8六同歩と取ったときの早仕掛けの攻め筋は主に以下の3つです。
- 角交換型(△6六歩▲同銀△6五歩▲同銀△7七角成▲同桂△2二角▲6七飛△8六飛)→「攻め筋1図」
- 角交換+△6五桂型(△6六歩▲同銀△6五歩▲同銀△7七角成▲同桂△2二角▲6七飛△6五桂)→「攻め筋2図」
- △6五桂型(△6六歩▲同銀△6五歩▲同銀△同桂)→「攻め筋3図」
1,3番目が基本となる2つの仕掛け、2番目は所属サークルRAJCの四段の方が採用した仕掛け(そのときの棋譜が「RAJC研究会(10/5/1)」、急所3巻P74に関連記述あり)です。またこの3つの攻め筋の他に▲8六同歩に△6四銀と出る指し方(米長流)や▲8六同歩に△7五歩と突く指し方もありますが割愛します。「続きを読む」からこの3つのそれぞれについて見ていきます。
「攻め筋1図」までの指し手
居飛車から角を交換し、△2二角▲6七飛の交換を入れてから△8六飛と走る指し方です。居飛車に一方的に飛車を捌かれて悪いようですが、▲6三歩の叩きが用意の反撃です。
「攻め筋1 結果図」までの指し手(急所3巻P79~に関連手順あり)
▲6三歩△5一銀の交換をいれた効果が「攻め筋1 結果図」の▲7五歩で分かります。交換がないと▲6三銀と上がって簡単に受かりますが、銀が引かされているこの局面ではその受けがききません。▲7四歩~▲7三歩成とと金がつくれれば四間飛車がよさそうですが、この局面から△5六銀や△6八銀と打たれる手が個人的には気になります。
また手順中▲6三歩に△同銀と取って▲9五角に△6六歩と打つ変化もありそうです(その変化の棋譜が「『四間飛車の急所 3』に記載のない変化 ~▲6八金上型早仕掛け~」)。


「攻め筋2図」までの指し手
角交換して△2二角▲6七飛の交換を入れるところまでは攻め筋1と同じですが、△8六飛にかえて△6五桂と銀を取るのが攻め筋2の指し方です。後の攻め筋3との違いは▲6五同桂と好位置に跳ねだされるかわりに、飛車が6七にいるため△6六銀などの手が先手で入る利点があるということです。
「攻め筋2 結果図」までの指し手(急所3巻P74~に関連手順あり)
「攻め筋2 結果図」の▲5五歩は、角の利きを生かして△6六銀~△6五銀と桂を取る手を防ぎつつ、△5五同角なら▲5三歩の叩きがあるなど味のいい手です。管理人が以前指した実戦(「RAJC研究会(10/5/1)」)では△5五同角に▲5六桂と打って以下負かされているので、この手でよくする手順がないのかどうかも興味があるところです。


「攻め筋3図」までの指し手
角を交換せずに△6五同桂と単に銀を取るのが攻め筋3の指し方です。この手に対して四間飛車は、▲2二角成△同玉▲6五飛とする指し方と単に▲6五同飛とする指し方の2つがありますが、前者はvs早仕掛けの常套手段である▲2六桂が甘い(4二金直型の場合は次の▲3四桂が王手金取りですが、この場合はただの王手)ので後者が勝ると思います。
「攻め筋3 結果図」までの指し手
「攻め筋3 結果図」の▲3五歩は4一金型を咎めた一手で、薄い玉頭から攻める狙いです。▲2二角成△同玉▲6五飛の変化から同様に進めて▲3五歩と突くことも考えられますが、(1) ▲3四歩の取り込みに△3二歩と受ける含みがある、(2) 自分から角交換したために7七桂と跳ねておらず△7六角成のとき6五飛に紐がついていない、という2つの理由から単に▲6五同飛と桂を取るほうが▲3五歩と指す場合は勝ると思います。


「『先手四間飛車vs後手早仕掛け』概観2」では△8六歩の突き捨てに▲8六同角と角でとった場合を見ていきます。
