基本図までの指し手
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「四間飛車の研究」では後手4一金型四間飛車と斜め棒銀の戦いについて考えていますが、通常の四間飛車vs斜め棒銀についても触れておきましょう。
左図が先手四間飛車vs後手斜め棒銀の基本図です。結論から先に言うと、図中赤丸で囲んだ4七歩、5六歩、9八香型が対斜め棒銀での四間飛車最善形で、その理由を概観しようというのがこの記事の目的です。
当然この3手をすべて満足するときが最も良い形ですが、四間飛車が後手のときや、居飛車が手待ちをしたとき(四間飛車先手のときはこれが居飛車の最善手です)のためにこの3手の優先順位も考えてみたいと思います(次記事)。
基本図から居飛車がすぐに攻めるとすれば、主な攻め筋は
- 基本形(△7六歩、▲同銀、△7二飛)→「攻め筋1図」
- 基本形+8筋突き捨て(△7六歩、▲同銀、△8六歩、▲同歩、△7二飛)→「攻め筋2図」
- 準急戦(△7六歩、▲同銀、△7五歩)→「攻め筋3図」
- 5筋で戦線拡大(△5五歩)→「攻め筋4図」
の4つあります。「続きを読む」からこのそれぞれについて見ていきます。
攻め筋1 四間飛車成功図までの指し手(急所2巻P240に関連手順)
まずは斜め棒銀の基本となる変化(攻め筋1図)からみていきましょう。
「攻め筋1 四間飛車成功図」まで進んでまず9八香型が四間飛車に有利にはたらくことがわかります。ここから居飛車が反撃するとすれば△6九飛と金取りに飛車を打つ手が有力ですが、▲5八銀の後の△9九飛成で香車を取ることができません。もし「基本図」までの手順中▲9八香にかえて▲4六歩と突いていたら△9九飛成で香車を取られていました。▲4六歩と突いても突かなくても、この「攻め筋1 四間飛車成功図」に至るまでの居飛車の攻めには関係がないのでこの変化になったとき▲4六歩は▲9八香より損といえます。
9八香型と4七歩型(つまり▲4六歩を突かない形)が得になることは分かりましたが5六歩型はさほど得になっていないようにも思えます。しかし▲5六歩を▲4六歩にかえた形を考えるとその意味がわかります。
攻め筋1 四間飛車失敗図までの指し手
▲5六歩にかえて▲4六歩と突いたときの変化の一例が「攻め筋1 四間飛車失敗図」です。▲5六歩と突いていない場合△5五銀とかわす手が生じます。「攻め筋1 四間飛車成功図」においてこの銀は6四で先手の持駒になる駒ですので、先程の変化と比べて明らかに損であることがわかります。
手順中の△7六歩▲同銀は意味が無いようですが、四間飛車vs斜め棒銀の戦いでたまに見られる手筋で、通常は△7九飛~△7七飛成と桂をとった手に対して▲6六角と6七銀の利きを生かして龍香両取りをかける手を未然に防ぐ意味があります。この場合5五に銀がいるのでもともと▲6六角の筋はありませんが、6七銀を7六に移動させることで△7八飛の桂香両取りが実現しています。
「攻め筋1 四間飛車失敗図」では居飛車が歩切れになっていますが、△4六銀と歩を補充する手があります。こうなると、▲5六歩にかえて▲4六歩と突いた手がことごとく居飛車を利することになっています。


攻め筋2 居飛車成功図までの指し手(急所2巻P220に関連手順)
次は8筋突き捨てを入れてから△7六歩▲同銀△7二飛とする攻め筋をみていきましょう。8筋突き捨てを入れる居飛車の目的は、「攻め筋2図」から四間飛車が攻め筋1と同じ対応をしたときにわかり、「攻め筋2 居飛車成功図」では飛車成が約束された居飛車が優勢です。
四間飛車側は別の対応が必要になります。有力なのはこの記事でご紹介する▲7四歩△同飛と飛車を1度近づけてから▲6五歩と角交換を挑む筋と、単に▲6五歩と角交換を挑む筋です。後者は先程の「攻め筋2 居飛車成功図」と同じようですが、8筋で得た一歩を生かして▲7三歩△同飛▲7四歩と飛車先を連打する筋が出てくる全く別の対応です。この変化は非常に難解な寄せ合いになるうえ、9八香型のメリットが分かりにくいので割愛します。詳しくは「四間飛車の急所」第3巻等を御覧ください。
攻め筋2 四間飛車成功図までの指し手(急所3巻P35に関連手順)
「攻め筋2図」から四間飛車が▲7四歩を選んだ時の一例が「攻め筋2 四間飛車成功図」です。最終手の△7一飛は「青野新手」で後々の▲8五歩~▲8四歩~▲8三歩成を甘くするなどの意味がありますが、もちろん△7二飛も有力です。
もし「攻め筋2 四間飛車成功図」において9八香が9九にいて4七歩が4六にいたとすると(つまり▲9八香にかえて▲4六歩と突いた場合)、次の△8八角が厳しい狙いとして残り、居飛車が得な展開でした。これは分かりやすい例ですが、急所2,3巻によると、攻め筋2の場合も概ね▲9八香型は四間飛車を利することになるようです。


攻め筋3 四間飛車成功図までの指し手(急所2巻P246に関連手順)
3番目に、「準急戦」と呼ばれる攻め筋を考えましょう。この指し方は一旦振り飛車の銀を△7五歩で引かせておき、△7三銀引~△7四銀~△6四歩と銀を繰り替えて好形に組み替える狙いがあります。また、△7三銀引の他に△7三銀上~△7四銀~△5三銀~△6四歩と手厚く組み替えるで順もありますがここでは割愛します。
4七歩型では△7三銀引で7五の支えがなくなった瞬間に▲7六歩から位を奪還しにいく指し方が有力で、「攻め筋3 四間飛車成功図」では最終手の▲4六角が4七歩を生かした厳しい反撃で四間飛車よしです。ただし手順中、△7二飛は最善手ではなく△7六歩と歩を取るほうが良いようです。
攻め筋3 高美濃で対抗の図までの指し手(急所2巻P235~に関連手順)
この記事ではすっかり疑問手扱いの▲9八香にかえての▲4六歩ですが、△7三銀引型の準急戦相手には高美濃囲いに組み替えて5筋に飛車を振り直す、もう1つの有力な四間飛車の反撃筋に▲4六歩を活かすことができるのでこの攻め筋においては損になりません。以下△6五歩なら▲5五歩と突く将棋になります。


攻め筋4 四間飛車成功図までの指し手(急所2巻P243~に関連手順)
最後に△5五歩とする指し方を考えましょう。この手には後々の▲6五歩からの角交換の筋を未然に消す目的や、戦線を拡大する目的があります。平凡に▲5五同歩では△同銀と銀を中央に活用されてしまうので、▲5七金が有力です。以下「攻め筋4 四間飛車成功図」となって四間飛車が指しやすいです。▲4六歩と突いていない形に対してのこの居飛車の攻めは最善ではなく、もっと細かい攻めが必要ですが▲4六歩と突いている形には有力になります。
もし▲9八香にかえて▲4六歩と突いていた場合はこの図の最終手から△4六角と歩を取る手があるため居飛車がよくなります。その場合四間飛車は▲5七金と上がるのではなく、▲7五歩と歩を取るのが最善となるようです。


以上、4つの攻め筋についてみてきました。どの変化になっても4七歩、5六歩、9八香型が四間飛車側に有利にはたらくことがおわかりいただけたと思います。「『先手四間飛車vs後手斜め棒銀』概観2」では「基本図」からの居飛車の最有力手段である、手待ち(△4二金直や△9四歩)をした場合を考えます。
